つい最近(2018/10)のニュースでジャパネットたかたが話題になりました。
こんな内容です。
ジャパネットたかたが販売したエアコンやテレビで不当な価格表示があったとして、消費者庁と公正取引委員会は18日、景品表示法違反(有利誤認)で同社に再発防止などを求める措置命令を出した。
ジャパネットたかたに措置命令 カタログで不当な表示より(朝日新聞)
パッと見ただけではよく分かりませんよね。
通販サイトの気を付けないといけない有利誤認について紹介していきます。
有利誤認とは
有利誤認ってなに?
そもそも有利誤認とは何なのでしょうか。
消費者庁で調べてみました。
景品表示法第5条第2号は、事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、価格その他の取引条件について、一般消費者に対し、
- (1)実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの
- (2)競争事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの
であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています(有利誤認表示の禁止)。
有利誤認とはより
ざっくり言うと、自分たちの売っている商品、サービスの価格などでお客さんが異常に得をするように見せる売り方はダメですよということです。
また、これは意図的ではなく誤って上記に該当するような場合でも、景品表示法で規制されてしまいます。
そのため、販売業者は価格などの表示に関して常に注意が必要です。
ジャパネットたかたの措置命令
ではジャパネットたかたが消費者庁から受けた注意の内容は有利誤認とどう関係があるのでしょうか。
指摘内容
受けた指摘の内容は以下のようなものです。
同社はテレビについて、ダイレクトメールで「ジャパネット通常税抜価格13万9800円」とした上で「会員様特価10万9800円」と記載。メールは昨年7月24日に配布されたが、「通常価格」による販売は同年6月15日に終了していた。
不当な二重価格表示 ジャパネットたかたに措置命令(ライブドアニュース)
噛み砕くとこういう指摘です。
前提として2重価格(通常の価格と特価などのセール価格)を表示する場合は、最低でも直近で2週間以上は通常価格で販売をしている実績がないといけません。
ですが、今回のジャパネットたかたの場合、それができていなかったということです。
2重価格と2週間の販売期間
2重価格は簡単に言うと、通常価格と特別価格のことです。
2重価格(通常価格、特別価格)を表示するときはルールがいくつかあります。
例えば以下のようなルールです。
販売開始から8週間未満のときは、販売期間の過半かつ2週間以上の販売実績があれば、過去の販売価格として表示することができます。
販売期間が2週間未満のときは、過去の販売価格として表示することは、原則としてできません
景品表示法(二重価格表示のルールについて)より
おそらく赤字に引っかかったため消費者庁から指摘を受けたのだと思います。
なぜ2週間?
なぜ2週間の期限があるかという疑問が出てくると思います。
以下個人的な想像です。
通常価格で3,000円と
特別価格で3,000円ではお客さんからするとどちらが注目を引くでしょうか。
大抵は特別価格の方かと思います。
実際は別にセールでもないのに「特別価格!」と歌って値段を表示させたら、
また、すべての業者が同じことを仮にしたら。
お客さんはどれが本当の通常・特別価格なのか分からなくなります。
そんな混乱を防ぐために最低でも2週間は販売した実績がないとダメと法律で定められているのだと思います。
有利誤認いろいろ
この表示はダメという回答はない
有利誤認はこのパターンはアウトというように答えが決まっているわけではありません。
なぜなら、混乱を招くおそれがある表示を禁止しているからです。
不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています
優良誤認とはより
過去の例から気を付けることはできます。
ただ、新たな視点で見れば「これもだめじゃないか?」と思われてしまうこともあり、販売業者は常に問題ないか意識しながら商品やサービスを売っていくしかありません。
有利誤認例
イメージがつくようにいくつか例を載せます。
①有限会社モアナエモーション
スキューバダイビングのライセンス取得ができるスクールです。
消費者庁から2012/2に指摘を受けています。
■内容
自社のサイトに「PADIオープンウォーターダイバーコース」を受講すれば10,000ポッキリでライセンス取得可能と表記。
ただ、2011/04~2011/06の間は20,000円程度のダイビング器材のレンタル料金をと、160,000円程度のドライスーツを購入する必要があった。
上記は小さく「器材の代金が別途かかる」という程度の記載しかされていませんでした。
そのため、再発防止を求められたとのことです。
②株式会社キャリアカレッジジャパン
こちらは通信講座の会社です。
2015/3に消費者庁から指摘がありました。
■内容
2010/05~2014/07までの間、「自社のサイトに1ヶ月の期間限定で正規受講料から10,000円値引」との表記を行っていた。
しかし、実際はほとんどの期間でも値引きキャンペーンを行っていたとそうです。
まとめ
有利誤認に関してすべての事例でもわざと行っていれば、悪質で罰せられても当然でしょう。
ただ、意図せず有利誤認になってしまうということもあり得ます。
今のところ、悪質な表示が意図的にされていることはないため、大きな罰金などの事例はないのかと思います。
販売業者は有利誤認に該当しないよう、注意しながらモノやサービスを売って行かなければならないことだけは消費者としても知っておいて損はないとでしょう。
・ジャパネットたかたに措置命令 カタログで不当な表示
https://www.asahi.com/articles/ASLBL55H2LBLUTIL02P.html
・有利誤認とは
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/advantageous_misidentification/
・景品表示法(二重価格表示のルールについて)
http://www.yakujihou.com/content/12-C.html
・ダイバーコース広告不当表示 1社に措置命令
https://www.excite.co.jp/News/recall/20120210/Recall_18383.html
・キャリカレ 通信講座受講料値引きで有利誤認表示
https://www.excite.co.jp/News/recall/20150320/Recall_27034.html