久しぶりに風邪引いて薬局で薬を処方してもらいました。
その時、「お薬手帳をお持ちですか?」と聞かれました。
持っていないと答えると、アプリがあるのでダウンロードを勧められました。
また、「薬購入後のレシートのQRコードから手帳に登録できますよ~」とのことでした。
お薬手帳について分かっているようで分かっていない方も多いと思うので紹介です。
お薬手帳って何だっけ?
お薬手帳は今までに自分がどんな薬を処方してもらってきたかを記録し、残しておく手帳のことです。
記録する内容は以下のような内容です。
薬の処方日付
処方した医療機関(病院)
薬の名前、量
服用方法
服用時の注意事項
調剤した薬局名
調剤氏名
薬局/薬剤師のコメント
アレルギー・副作用の有無
同時期に別の医療機関から薬を処方されて複数種類の薬を飲むこともあると思います。
お薬手帳を見ればいつ、どこで、どんな薬を誰が処方したかが分かります。
お薬手帳はどこの薬局でも貰うことができます。
そのアプリがいくつか出ていました。
お薬手帳EPARK
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日薬eお薬手帳 |
お薬手帳プラス |
iPhone | iPhone | |
android | android |
お薬手帳のメリット
お薬手帳を持つことでいくつかメリットがあります。
処方時に医師へ正しい情報を提供できる
年齢を重ねてくると多いと思いますが、複数の医療機関にお世話になることがあると思います。
そして、医師同士が知らずに薬を処方して患者が飲み合わせをしまうことも起こり得ます。
その際、複数の薬の成分どうしが反応して、予想外の強い作用が出たり、反対に薬が効きにくくなることがあります。
また、場合によっては命の危険にかかわってくることもあり得ます。
致死事件については下で紹介しています。
複数の医療機関を受診する場合などは、誤った処方を防ぐことに繋がります。
安くなることがある
2016年4月に診療報酬改定があり、薬手帳を持参すると医療費が安くなる場合があります。
※必ず安くなるわけではありません。
個人薬局で患者が6カ月以内に再び処方箋を持参した場合が対象です。
薬局で調剤してもらう際には、「薬剤服用歴管理指導料」がかかります。
管理指導料が改訂により、お薬手帳を持参することで500円→380円になります。
120円安くなるということです。
アプリのメリット
アプリを持っていることでさらに良いことがあります。
家族の情報も管理できる
アプリならではですが、家族の処方履歴を管理することができます。
緊急で薬が必要になることが発生することもあり得ます。
介護などを受けている方のデータもアプリに登録しておけば、医師にすぐに見せることができます。
QRコードで簡単に登録できる
処方された後、お薬の明細にQRコードがついています。
それをスマホで読み取るだけですぐに登録することができます。
手書きが不要で、一瞬で登録ができるのです。
ポイントを貯めてクーポンと交換できるアプリも
これは全てアプリでできるかは分かりませんが、私の使っているEPARKお薬手帳はポイントを貯めることができます。
そして貯めたポイントはクーポン券と交換することができるのです。
ただし、EPARKの加盟店のみで割引クーポンが使えます。
致死事件から生まれたお薬手帳
飲み合わせによって実際に起こった致死事件があります。
そこからお薬手帳の導入が広がりました。
ソリブジン事件(1993年)と呼ばれています。
ソリブジン事件の概要
ソリブジンはヘルペスの抗ウイルス薬の錠剤です。
この薬は5-フルオロウラシル(5-FU)という抗がん薬の構造と似ています。
がんの治療で5-FUを服用していた患者さんがヘルペスを患いました。
別の医療機関から処方されたソリブジンを併用したところ、2~4日後に血便などの下痢をして中毒症状が現われました。
患者たちは服用を止めましたが、結果的に15名もの方が亡くなられました。
原因は似たような薬を併用したせいで5-FUを分解する酵素の働きが弱まり、血液中の5-FU濃度が通常の10倍以上になったことで、臓器機能に障害を起こしたためです。
ソリブジン事件から学ぶ
この事件は医師に情報が伝わっていれば避けることができたものです。
ソリブジン薬害事件が起きた1990年初頭の日本では、患者本人にがんであることを伝えないことが多い傾向でした。
結果、医療機関は抗がん剤を服用しているという情報が共有されにくい状況になっていました。
飲み合わせで副作用を起こすような場合に、歯止めをかける仕組みがありませんでした。
そんな悲しい事件を防ぐために導入されたのがお薬手帳なのです。
まとめ
医者に行くとき、私もお薬手帳はついつい忘れがちです。
でも、お薬手帳の本当の目的はソリブジン事件のようなことを防ぐためです。
今ではアプリで簡単に管理することができるので、家族のためにも、自分のためにもお薬手帳が身近になればと思います。
お薬手帳の見方が少しでも変われば幸いです。